序章ー旅立つ理由ー

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「レイスー? はやく起きてこーい」 シトラス王国城城下町、通称王都シトラスのはずれにある小さな農家の集落。 その中の特に大きいわけでも、ましてや痛々しい貧乏そうなわけでもない普通の家で、母親から呼ばれたにもかかわらず寝続けている女のk「あ"ぁん?」 …失礼、男の娘がいました。 「んしょ…っと」 16歳の彼は透き通るソプラノボイスをわざと低くしており、身長150㎝程度でスラッとした手足。 無造作に切っているであろうにもかかわらずサラサラした茶髪は後ろで小さく、それこそ縛ろうが縛らまいが変わらない程度に小さくなら縛れそうである。 濁った青い目と誤魔化す事のできない完璧な童顔は、ここ数年の彼の悩みランキング一位を独走中である。 熊のぬいぐるみを抱えベッドに腰掛けたまま寝惚け眼をこする彼はどうみても男には見えない。 トランクスにタンクトップ姿でなければさらにそうだっただろう。
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