序章ー旅立つ理由ー

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「おはよう、母さん」 居間で既に朝食をレイスの分を含めて片付けようとしている母親に声をかけ、朝食を確保しているレイス。 朝食はシンプルにトーストとベーコンエッグ。 「ほら、野菜ジュース」 レイスの母親、シリアは一児の母とは思えない程に若く見えるが、首の後ろでひとつに纏めた茶髪と深い隈に濁った黒目、だいたい着ている白衣のため特にナンパとかはされない。 一児の母とも思われないが。 「…また試験薬?」 レイスに渡された飲み物は試験管に入った緑色の半ゼリー状の濁った液体で、どうみても人の飲む薬ではない。 「ごちそうさま」 ベーコンエッグとトーストを食べ終えたレイスは試験薬を飲む…はずもなく、自然な流れで居間にある小さな観葉植物に与えた。 「あぁ、試験薬「ヒトニナール」が…」 「俺が人じゃないとでも言いたいの?」 ちょっとしたら観葉植物が燃え始める。 そして動きはじめた。 「ちょ、はぁっ!?」 「失敗みたいねぇ…」 冷静そうなシリアだが、冷や汗をかいている。 家が全焼しかねないので当然といえば当然だが。
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