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もう一度考える。しかし、分からない。
「……モモッチは結局、何が言いたいんだ?」
教師の熱意が、暁人には伝わらなかったのだ。まぁそれは当たり前の事。
百華自身も何が言いたいのか分かっていなかったのだから。だが、
「はぁ……これだから馬鹿は」
百華は呆れたかのように首を振った。さらに、先程まで和気藹々としていたクラスメイトが一同に固まる、そして融解。
「はぁ~っ? うわ、興が冷めたわ~!」
打って変わり、顰蹙の渦が、暁人を取り囲むのだった。
「え、えぇ? なにそれちょっと。何か酷くない?」
「酷いのはお前だろぉっ?」「空気読めよ……」「三島先生可哀想~」
「おい、お前らやめろ! 今のは、上手く伝えられなかった私が悪いんだ……だから、だから暁人は悪くない」
「うん……全くその通りなんだけどすげぇ嫌味に聞こえるぞ? ……というかお前らはわかったのか? モモッチの言いたい事」
「「「…………」」」
「さて授業再開するぞー」
「おいコラ待てコラ」
瀬川暁人、Sランク。それは国が重要視している危険分子。人外区域内でさえ危惧される存在。しかし、それは思っている以上に普通で、凡庸で、平凡で、どこにでもいそうなちょっと痛い少年。それは彼自身も自覚していることで、自分がSランクという危険分子であるのが、どうも理解出来なかった。
実際はどうなのだろう。単純に『観測者の備忘録』のミスなのか、それとも本当に、彼自身が警戒するほどの存在なのか。ただそれは、よく考えれば分かることだ。
暁人の『創造神の右手』は《どんなもの》でも創り出すことができる能力なのだから――
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