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今までこうした決闘は、自身を保護してくれるCP、『秩序の番人』〈オーダメイト〉と呼ばれる政府直属の人物がいたから穏便に済ますことができていた。だからこそ今回の決闘も受けた暁人だが、どうやら思惑通りでは無かったらしい。相手が三人となれば、時間稼ぎどころか瞬殺も危うい。
「え、……え? それちょっとダメじゃね? ほら、正々堂々の決闘でしょ? だったらさ、一対一じゃないと……」
ただでさえ不安定だった情緒がさらに揺らぎ、焦燥感が吐き出す言葉をたどたどしくした。
「はぁ? それこそ待てよお前……そんなん無理に決まってんじゃん。俺達Cランクだよ? Cランクって……単体でSランクに勝てると思う? 思わねぇだろ」
「いやっ、でも、でもさ。やってみないとさ。わかんないじゃん」
「いや無理だろ。無理無理。絶対無理」
「お前無理とか言うなよぉ……やってみないと分かんないってぇ」
「まぁそうだけどさぁ……Cランクだよ? 結構差が歴然としてるじゃん」
「いやわからないでしょぉ! やってみないとわからないでしょぉ!」
今までの余裕はなんだったのか。途端に態度が一新した暁人に凄まれ、逆ギレされ、学ラン少年は渋々、
「わ、わかったよ……じゃあ俺が一人で……」
承知してくれる。
「――ってんなわけねぇだろ! 行くぞオメェら!」
ワケではなかった。……というか逆効果。無駄に滾らせてしまったように見える。
「おぉ!」という掛け声と共に、後方の二人も飛び出した。目標は勿論、区域最強のSランク瀬川暁人。
「え、ちょまっ……ちょ待てよ! ちょ待てよぉ!」
最強……というのは間違いなのだが、三人組はそんな事を知る由もない。アタフタする暁人に構わず、着実に接近していった。その刹那、
「――っうわ! な、何だっ!」
何かの現象が、彼等を襲った。
眩い光。目を細めるほどの閃光がいきなり、この河原を煌々と照らしだしたのだ。その発端は一人の少年。区域最強の男から放たれた物。煌めいた右手から、黄金の光沢が輝く。
それは現世に成し得た幻想的な光景。鮮烈なる印象だ。
「な、何だ……ま、まさか。これがSランクの力……」
そう、今まさに『創造神の右手』が、発現したのだ。
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