一章

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夕焼けの明かりさえ包み込む強烈な光は、彼等の足を止めるに十分な迫力だった。 ――ナイスタイミング。丁度良い所で能力が発現したぜ――なんて、暁人は思っているに違いない。 「え、え? なんで? なんで?」  光源が一番驚いていた。 「なんで……――ッハ」  しかし、一瞬の動揺は消え去った。この状況を免れる策でも思いついたのか、暁人は目の前の三人を見据え、小さく笑い出す。 「ふ、っふふふふ……どうやら、本気を出すしかないみたいだね」 「なん……だと?」  そう言って、存在感を示す黄金の右手を掲げ、彼等に向けた。 「っう……」  異様な圧力が彼等を包み込み、足が一歩後ずさる。不敵な笑みを浮かべた暁人は、それほどにまで面妖だった。さっきまでの攻防は逆転し、一進一退が打って変わる。 「さてとそろそろ、コホン。……喰らうがいい! 我がプラネットパワーを!」  息を静かに吸い込む暁人は、「っは!」と声を張り上げ、右手に神経を集中させた。 「ひぃっ!」 その声に対し彼等は、ビクッ、と身体を跳ね上がらせる。のだが、 「…………」  未だ暁人の右手は、光を帯びたままだった。 沈みかけた夕日が照らす洛陽の光が、暁人の表情を朱色に染める。静寂の空気に、西の空を悠長に羽ばたく黒い鳥が、しらける鳴き声を響かせた。同時に、草原を揺らす一陣の風も吹き込み、高揚した身体を冷ます。 けれど暁人の力は醒まされなかった。それがどういう事なのかと言うと、 「……あ? 何も、……起こらなくね?」  その通り、何も起こらないままだった。当たり前だ、能力の発現は自分でコントロール出来ないのだから。それでも、期待してしまったのだろう。自身の力が覚醒する事に。 「は? 何を言っている。……既にお前らは――死んでいるのさ」 「な、なんだと!」 「…………」 「…………」 「え、いや。……生きてるよな?」 「は? いやだから、そう言う意味じゃなくてさ、比喩だよ比喩。お前らは既に死ぬ状況に陥っているっていう……そういう、あれだよ」 「……はぁ、いやでもさぁ……現になんも起こってないんですよね」 「あ、あのね。だからね。もうお前らはあれよ、死ぬ状況なんだよ。それがどう言う意味なのかというとね、まぁ話は長くなるんだけッ――はい来たぁあああ!」 「えぇっ?」
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