一章

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能力の完全発現までの時間稼ぎ。それが暁人にできる最善の手だった。その為、途端のテンションの切り替えが情緒不安定にしか見えない。現に、学ラン少年達はドン引きしていた。 「はい来ました。はい来ましたよコレ。喰らうがいい……俺のプラネットパワーを――」 「え、さっきのは? さっきのはなんだったのっ?」  『最強』であるはずの男の行動と言動に戸惑いながら、彼等は説明を求めた。だが、そんな事は露知らず、暁人は能力の発言を促すように手を力ませる。 「――形成!」  轟渡る咆哮。通り抜ける旋風。その二つは重なり、共鳴するかの様に右手は唸りを上げる。  瞬間、先ほどまでの光がさらに光量を激しくし、右手の中心からその根源が現れた。  電球とでも言えばいいのか。強烈な電光を灯す球体が、手の平を覆い隠した。だがそれも一瞬で、その球体は徐々に歪んでいき、やがて形が不明瞭になっていく。そして、粘土細工の様に形を変化させるそれは、段々と輪郭が顕になった。 「これは……銃、か?」  それはまるで、銃に酷似した物体。未だ光を帯、何であるのかは分からないが、手に余る程のトリガーが付いた取手。それに連なる太い銃口が、彼等に向かってのびていた。一つ感じる違和感といえば、拳銃というよりも、おもちゃのレーザー銃にみえる、見たことのないようなデザインだった。 「――ッハ……もしかして」  形を成したそれを見て、暁人はゴクリと唾を飲んだ。多分、それが何なのかを察したのだろう。 もしかしたらこれは、《未だこの世には存在しない、未来の兵器》なのではないのかと。  彼の力なら有り得なくはない。『創造神の右手』は凡ゆる万物を生み出す。それが空想上の物であってもだ。 「……っふ、ふふふ。……ふはっ、はははははは!」  途端に笑みが込み上げる。しょうがない。今回で初めて戦えそうな物を作り出せたのだから。相当嬉しいのだろう。  
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