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プラネットパワー。それは、今まさに暁人が遭遇している超常現象であり、この人外区域では当たり前とされている能力だ。超能力と言っても可笑しくない、人単体では起こせないような現象を引き起こすことができる力である。
「……コホン」控えめな咳払いを一つ。「では、授業を再開するぞ」
態々再開発言をした百華を気に留めることなく、暁人は高揚感を落ち着かせ、席に着いた。しかし、教科書は開かない。明らかに授業を受けようとしない反抗的な態度を取っていた。
反抗的な態度といっても、机に足を乗せたり、あさっての方向に顔を向け景色を眺めて黄昏る、といった定番中の定番的なものではなく、ただ一心に輝き続ける右手を見つめていたのだ。
「コホン、コホンコホン!」目の前に教師がいるにも関わらず、自由放漫な態度に苛立った百華は怒りを笑みでコーティングし、教科書を朗読し始める。「えー今から二十年程前に起きたロストインパクトによって、日本に新たな人種が誕生した。プラネットパワーと呼ばれる力を使える人間、それがお前たち、だ」
何故か、だ、を強調しては、ギロリと暁人に視線を飛ばす。だが、暁人は一向に右手を凝視しているだけだった。
「……プラネットパワーを持つ人間、プラネッターは徐々に生まれていき、政府はいずれ驚異になるであろうお前たちを一つの区域にまとめあげた。それがここ、人外区域、だ」
またもや、だ、を強調するが、やはり気に止めない。眉間をピクピクと震えさせる百華に対し、全く怖気つかない暁人だった。女性教師と言っても、学園内では『鬼』と恐れられている百華なのだが、ここまで来ると肝が座っているとしか言い様がな……
いや、それは間違いだった。なぜなら彼は、
「――来た。来た来た来た来た! 来たよモモッチ!」
「私をモモッチと呼ぶな。三島先生……いや、もう神と呼べ」
「はい、神……っておい! ふざけてる場合じゃないよ! 今こそ我が力が覚醒する寸前なんだよ! まぁいい……形成!」
「――っく! 光が凄いな……瀬川、一旦手を隠せ。眩しすぎて、目に害だ」
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