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「朱里! 昨日はマジでごめんね」
次の日に学校に行くと、一番に花菜が謝ってきた。
その手には私の大好物のシュークリームを持って。
「もー、おかげで昨日大変だったんだから。 また、あのメール来て」
私はぷりぷりしながらそっぽを向いた。
シュークリームは有りがたくいただいて。
「うそ!? だ、大丈夫だったの?」
予想外だったのか花菜は声をひそめて言った。
その顔は本当に心配そうだ。
「……はるき、悠希に迎えに来てもらった」
ボソッと言うと、花菜の顔がたちまち輝きだすのが分かった。
だから、あまり言いたくなかったのだ。
「よかったねー! 悠希くん、朱里のためだったら仕事放り出しても来てくれるって! うわー、いい彼氏がいて羨ましいなー」
稲森悠希は一応私の彼氏みたいなもの。
正式にいえば、友達以上恋人未満みたいな関係。
何せ私たちは年齢が六歳も差があるし、彼は社会人だしでなかなか会えない。
加えて、私の生来の性格からか素直に会いたいとも言えず、本当に怖くてどうしようもないとき以外は私からは連絡すらもしない。
この状況を知っている花菜が彼氏と呼ぶのには少し驚く。
「そんなことないよ……たまたま時間があっただけだろうし」
「朱里? もう少し素直に頼ってあげたら? 私だって、学校内ではいっしょにいられるけど、外に出たら常にいっしょにいられないんだからね? わかってる?」
それを言われたらなにも言い返せない。
私はふてくされて、視線をしたにおろした。
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