一抹の幸福

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気がつくと、俺は一人で横たわっている。 怖くて怖くてたまらなかった筈なのに、眠ってる。 駅のトイレは俺にとって寝室のようなものだ。 長年そこで気を失って眠ってきたのだから、違わない。 俺は、カバンを手にして学校に向かう。 もちろん、ここで起きた事なんてなかった事にして。 忘れたままでいよう。 昔、そう決めた。 だけど蝕まれたこの体は、また覚えているのだろう。 そう思うと虫唾が走る。
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