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その人の名前は
山下 美結
有里より2つ年下。
自宅でリラクゼーション系の仕事をしているという。
リラクゼーション系ってなんだ?
そっち系はさっぱりわからない。
「女性専門のエステみたいなものです。子供が生まれる前までサロンにお勤めしていたので。」
そうか。
エステシャンか。
良かった。
いかがわしい関係かと思った。ちょっと。
健太郎が学校に通い始めて、ふた月近く。
家で学校のことは何も話さない。
男の子ってそういうものだろうか。
俺の子供の頃もそんなだっただろうか。
考えても、思い出せない。
でも、家に誰かが居て、待ってくれているというのはなぜかいいものだ。
ほとんど喋らないし、話しかけても頷くか、良くて「うん。」
それでも、一緒にご飯を食べて、片付けをするときには一緒にシンクの前に立ってくれる。
時々口を開くが、
「お母さん、いつ来てくれるの?」
それしか言わない。
美結さんにそのことを話すと、
「男の子だからそんなものですよ。
今まで男の人と接する機会がなかったから、何を話していいのかわからないのかもしれませんね…」
そんな風に慰めてくれる。
今は彼女の存在が一筋の光だ。
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