突然

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そんなことを考えていたときだった。 「健司さん、 有里先輩から昔、健司さんは板前さんだって聞いたことがあるんですが。」 有里は俺が料理人の時しか知らないからな… 「はい。 確かに料理人です。 でも今は、経営の方に力を入れて、包丁は握っていないですが。」 「そうでしたか… 失礼しました。」 なんか残念そうな声。 「どうかされましたか?」 料理人の俺に興味があるのか? チャンスじゃないか。 何のチャンスだ? 「いえ… うちでたまにホームパーティーを開くのですが、お料理がワンパターンで… いろいろ教えていただけたら助かると思いまして。 でも、 迷惑でしたね。 大丈夫です。 気心の知れた昔からのお友達が集まるだけですから。 気にしないでください。」 めちゃくちゃ大チャンス! 「私にそのお料理を作らせてください。 健太郎のことで、いつもお世話になっているので、何かお礼をと考えていたところだったのです。 そのパーティーはいつですか?」 なんか、必死だな…俺。 そんなに会いたいのか?
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