突然

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「はじめまして。南です。 いつも電話で失礼しております。」 こちらこそ。 と微笑む彼女がまた、素敵で… 後ろで一つに束ねた髪の毛が揺れる。 「健太郎くんね? こんにちは。 うちにもね、男の子が居るのよ。」 そういうと、奥から男の子が出てきた。 「柊、健太郎くんよ。4年生だって。 柊の方が2つ年上だから、ちゃんと見てあげるのよ。」 「健太郎か… じゃあ健太でいいな。 健太、行こう。DVD見る?」 柊くんは健太郎の手を引いて奥へ入っていった。 そのとき俺に紙袋を渡して。 「あ、これ、みなさんで…」 子どもたちに目を配る彼女のうなじに見惚れた。 見惚れてばっかだ。 今日の俺はどうかしてる。 「まあ… そんなお気遣いなさらないでください。 今日はご無理を言って来ていただいているんですから。」 ウフフ… と笑うその声が耳に心地いい。 どんなに直接聞きたかったか。 こちらです。 と案内される彼女の後に続いた。 微かに香る薔薇の香り。 俺は… 完全に心を奪われた…
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