目眩

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どんな顔をしていたんだ? なんか…恥ずかしい。 「健司さんはご両親はご健在なの…?」 もうほとんど洗い物だけ。 俺の隣で洗ったものを片付けていく。 「田舎に母が。 時々こちらに出てきて芝居だの買い物だの言って泊まっていきます。 父は物心ついたときから居なくて。 だから、父親ってどうやったらいいのか解らないんです。」 そうなんだ。 父親の役目がわからない。 「でも、健太郎くんが羨ましいわ。 柊の父親とは結婚もしなかったの。 だから、父親の欄は空白で。 こんなに健太郎くんの事を考えてくれるお父さんがいて、健太郎くんは幸せね。」 だいたいの片付けが済んで、美結さんがコーヒーを入れてくれた。 「柊は何も言わないの。 父親は死んだと話しているけれど、あの歳になればお墓参りのひとつにも行かない事に疑問を持っているはず。 でも、何も聞かない。 苦しめているんじゃないかと心配で…」 聞いてほしいと聞こえる。 「もしよかったら、何があったのか話してみませんか? 私がお力になれることでもあれば、何でもします。」
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