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「すみません…助かります。」
子供たちは芝生の上を走り回り、まるで噴水のなかで戯れているように見える。
あっ…
健太郎が濡れた芝生で滑ったのか、思いっきりこけて立ち上がろうとしない。
俺はそばに行こうと立ち上がろうとした瞬間、
美結さんが俺の手を取った。
柔らかい絹のようなその手に触れて、
一瞬、健太郎のことが頭から消えた。
「大丈夫。
見ててください?」
と、子供たちに目をやる。
俺の心臓のざわめく音が聞こえるんじゃないかと思うくらい、たじろいている俺は…
何とか平常心を装って外を見る。
ほかの子が健太郎に気づいて近くによる。
一言二言話して、健太郎は起き上がり何もなかったかのようにまた、走り回る。
「ね?大丈夫でしょ?」
それでも、俺の手は握られたまま…
「あ、ごめんなさい!」
美結さんが慌てて手を離した。
ほんのり染まる頬。耳朶も同じ色に染まる。
あーなんて可愛らしいんだ!
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