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部屋に帰る。
こんな広い部屋は俺一人には勿体無いけど、
コレも節税対策。
ほとんど誰も訪ねてこない。
時々、母親が芝居だの何だの言って泊まりにくる。
わかってる。
芝居だの言いながら、こんな年で一人でいる俺のことを心配して来ていることを。
女はいる。
いるというか、気持ちは持たないようにしている。
好きとか愛しているとか、バカらしくて言ってられない。
そんなものはいつか消える。
一時だけだ。そんなもの。
近寄ってくる女は多分、金目当てだな。
「これかわいい!」
とねだるものを買ってやれば、まあそこそこいい関係を保っていられる。
それだけ。
もう結婚する気もないし、懲り懲りだから。
女に振り回されるのは。
だから部屋には入れない。
どうしても来たいと言ったときには、
母親と同居していると嘘をつく。
女に入り込まれて、女房ズラされるのなんか、まっぴらだ。
まあ、男としての欲求はあるし、一人で飯を食うのも味気ないから、
近寄ってくる女に手を出しただけって感じか?
「健太郎…
なに食べたい?」
もうすぐ昼だ。
「…………」
またかよ。
「何でも食べれんだろ?」
「…………」
ゲーム機を見つめたまま、
聞こえてんだろ?
「ピザでいいな。」
「………うん。」
やっと返事した。
あー、疲れるっつーの。
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