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『璃紅?……泣いてるの?』
「……っ、だって。なんか薫ちゃんの声聴いたら」
自然に涙が出てきちゃったんだもん。
『馬鹿だな、璃紅は』
「だって勝手に……、」
ポロポロとこぼれ落ちる涙は嬉しいからなのか寂しいからなのかわからない。
『璃紅、覚えてる?はじめて璃紅にクリスマスカード渡した時の事』
「……うん」
『あの時、サンタさんにこうお願いしたんだ「大きくなってもりっちゃんとクリスマスすごせますようにって」』
「…薫ちゃ……」
『考えてみたらサンタさんにお願いするには随分と欲張りな願いごとだったよね』
「ふふふ、」
『おかげで何年もそれをお願いする羽目になったけどね?』
薫ちゃんはそれでも楽しそうに言う。
薫ちゃんと一緒にこれからのクリスマスを沢山重ねていければいいな。
「薫ちゃん?それ、私も一緒にサンタさんにお願いする」
『璃紅っ、……』
「薫ちゃん、ありがとう。それと……
私は携帯を口から離して小さくスキと呟いた。
『え?璃紅、なんて言ったの?聞こえなかった』
「ううん、メリークリスマスって言ったの」
だって、スキは直接顔を見て伝えたいから。
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