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『メリークリスマス、璃紅』
「あ、じゃあそろそろ切るね」
ほんとは名残惜しいけど、でもいつまでも話してるわけにはいかない。
『あ、待って璃紅。』
「ん?」
『……あーやっぱり、いいや。帰ってきてからで』
へんな薫ちゃん。言いかけてやめるなんて。
「ん、じゃあおばあちゃん家にも行かないといけないから1日に帰るね」
『わかった、緑兄と空港まで迎えに行くから着く時間メールしておいて』
「ありがと」
『じゃ、おやすみ』
「おやすみ、薫ちゃん」
付き合って初めてのクリスマスの夜はこうして終わろうとしている。
一緒に居られたわけじゃないけど、それでも薫ちゃんのおかげで一杯の幸せな気持ちをもらった。
薫ちゃんってやっぱりすごい。
離れてても、私を簡単に喜ばせてくれる。私よりも私を知ってるって嘘じゃないかもしれない。
ベッドサイドの置いてあった私の携帯のメール受信のライトがついていた。
寄って行って確かめると結衣たちからのメールと薫ちゃんから。
【メリークリスマス、
大好きだよ、璃紅】
薫ちゃんはこの文字をどんな気持ちで打ったんだろう。
普段はなかなか言葉に出してくれないけど、大切なこの日にメールで寄せてくれた想い。
「薫ちゃん、大好きっ」
メール画面に向かってそう言う。私はやっぱり直接会ったときに伝えよう。
《大きくなってもクリスマス一緒に過ごせますように》
きっとそんな日はもうすぐやってくる、よね?
END
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