35505人が本棚に入れています
本棚に追加
/863ページ
《アスラside》
任務中に現れたルアンに、ひどく慌てた。
ゼン様がいるのだから、ルアンが怪我を負う事はまずない。
それは解ってはいるけど、気持ち的にはそう割りきれない。
任務を慌てて終わらせ、ルアンの元へ急ぐ。
「どうかなさったのですか!?」
わざわざ任務中に来るなんて、余程緊急の用件なんだろうか?
「いや、皆が隊員になったから、祝いの席を設ける事にしたんだが……
悪いが、料理を作ってくれないか?」
(え?)
それを伝える為だけに、此処へ来たんだろうか?
ルアンの腕の中にいるゼン様に視線を向けると、承諾しろと言わんばかりに目を細められた。
本当にそれだけの為に来たらしい。
ホッと安堵したのと同時に、危うさも感じられて気が気ではない。
ルアンはこんなに子供っぽい人だったのだと、改めて思い知らされた気分だ。
こんな無茶はしないで欲しい。
「それは構いませんが……
わざわざルアンが言いにくる必要はないでしょう?」
「コックを頼むのも考えたんだが、やっぱり俺はアスラの料理が一番美味しいと思うし、頼みたいと思ったのも俺なのだから、俺が言いに来るのが筋だろう?」
私に伝える手段はいくらでもあるって言いたかったのに、そんな嬉しい事を言われた。
最初のコメントを投稿しよう!