祝杯をあげよう

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親になってくれたと言っていたけど、総帥とはどう違うのだろうか? ルアンが気を許しているというのは、同じなんだろうけど。 「ちゃんと寝ているのか?」 「ああ 一緒に寝ているから、ゼンが証人だ」 親子らしい会話に、聞き耳を立ててしまう。 「夢見は悪いみたいだけどな」 だからか、大魔王様の言葉にルアンを凝視してしまう。 「厭な夢を見るのか?」 「……最近、たまに見るだけだ」 「嘘をつくな! ここ最近、毎日魘されているだろう!!」 「……ゼン」 「お前はもう、我慢をしないんじゃなかったのか!?」 たしなめるように使い魔の名を呼んだルアンに、尚も言い募る大魔王様。 やはり、使い魔も規格外のようだ。 契約主の事を、ここまで心配して動く使い魔など、聞いた事がない。 「……心配させるだけだろう? それに、ただの夢だし、気にしても仕方がない」 言い訳染みた事を口にした。 ルアンは子供っぽくなる事が多くなった気がする。 今までは冷静沈着で、戦闘行動はピカ一で、無口な男だと思っていたけど。 帝王様のイメージは、まんま前のルアンのイメージと一緒だな。 ──ルアンが子供っぽくなるのは、周りに気を許した人がいる時だけみたいだけど。
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