祝杯をあげよう

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「どんな夢を見るんだ?」 「……俺の過去の夢だ 過去に戻れる訳でもないのだから、気にしても仕方がないだろう?」 魘される過去の夢…… 魔物に村を襲われたと言っていたから、その時の夢だろうか? (未だに夢に見るのか……) やっぱり、辛かったからだろうか。 「辛ければ辛いと言わなきゃいけないぞ?」 「もう八年も前の事だし、その当時に泣いたしな すぐにジークに引き取られて特訓に入ったから、泣かなくなったけど」 「別に、今泣きたくなったなら、泣いてもいいんだぞ?」 「ああ」 ルアンは本当に、アズキス様へ気を許しているようだ。 笑顔を浮かべながら会話をしている二人へ、声をかけられない。 八歳の時に村を襲われ、孤児となったルアン。 やはり歳の事もあるし、かなり辛かったんだと思うけど。 「ゼンを召喚してからは一緒にいたし それに、悲しんでいる暇はなかったからな……」 ルアンの言葉に、胸が痛くなる。 悲しむ暇がなかったなんて…… 帝王様として、ずっと任務をこなしていたからだろう。 そんな暇すらなかったなんて、どれだけの任務を受けていたんだろうか?
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