祝杯をあげよう

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その時、料理を運んできたアスラ。 その料理は前と同じく、美味しそうな匂いを漂わせている。 食べたいと願っても、俺達が口に出来なかったであろう料理。 ルアンが言わなきゃ、アスラが俺達に作る事は一生なかっただろう。 だけど、料理に手をつけるのは、お預けになった。 また来客を知らせる音が鳴ったからだ。 残りは零番隊隊員のヴァキア様。 アスラが扉を開けに行こうとした時、扉が開いた音がした。 開けっぱなしにしていたらしい。 エンドドロップ隊員だけでなく、零番隊がいるんだから、誰も無闇に入って来たりはしないだろうけど、不用心だな。 「ルアン!」 ズカズカと入って来たのは、任務が終わってすぐなのか、赤いローブを着たままのヴァキア様だ。 何か怒っているような感じだが…… 「ヴァキア、悪いが鍵を閉めて貰えるか?」 だけどルアンの言葉に足を止め、鍵をかけにいったらしい。 そして再び戻ってきた。 「任務中に現れるなんて危ねぇだろ! 危険な事、するんじゃねぇよ!」 かなり怒っている。 「ゼンと一緒だから平気だ」 「ゼン様が一緒とか、関係ねぇんだよ! ルアンが来る事はなかっただろ? 俺達へ伝える手段は、いくらでもあるだろっ!」 (ルアンに対しても怒るんだな) 俺達は呆然と、そのやり取りを見ているしかない。
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