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結局、山に妖精達の姿は見受けられなかった。
鳥が数羽いた位で、しかも、羽を休めていただけのようで、すぐに飛び立ってしまった。
あんなに沢山いた動物達も、何処へ行ったのだろう?
この山から近い山まで移動したのだろうか?
最近まで居た形跡もないし、巣穴も放置されてからかなり経っているようだった。
リーシャと共に山へ入った時のような、暗く不気味な様子はないが、ゼンが言ったように、山自体が生きている感じがしない。
聖界に似た雰囲気の綺麗な場所は、たった八年で姿を消してしまった。
「昔と比べて、かなり変わってしまったな
何故此処に妖精が多かったのか、調べようと思っていたのに」
来た意味もなくなってしまった。
念話ができるようになった時点で、此処に来れば良かったのだろうけど。
妖精達と話す事ができたかも知れないのに。
確認する術を失ってしまった。
「帰るか?」
「……そうだな」
山を散々歩き回った俺達。
いつの間にか日も暮れ、空が暗くなってきている。
思っていたよりも時間をかけてしまったようだ。
ゼンに転移魔法を展開してもらい、寮まで転移した。
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