悲劇は突然に……

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その日からルアンは、昼は学園で授業を受け、その後任務を続ける生活を繰り返すようになった。 報告の為にエンドドロップへ戻ってきても、俺の説教を聞く事なく次の任務へと向かう。 呼び止めても── 「これから任務がある」 そう言って去ってしまう。 俺の話を、意図して聞こうとはしない。 説教される事を危惧しているんだろうが、魔力量の話もしない。 任務はダンダルド討伐が含まれている為、魔力量は戻っている可能性が高いだろうが。 俺と特訓するという話も流れているようだ。 “そんな気分じゃない”って事なのだろう。 任務を数多くこなすようになったルアンは、必然的に目撃される事が多くなった。 ルアンの正体を知っている人は、まだ少ない。 エンドドロップ在籍者と、アトラス魔法学園の在籍者にその保護者くらい。 突然現れた男が、隊員達が手こずっていた魔物を一瞬で討伐してしまうという目撃情報が、多々寄せられる。 (ローブを被せた方がいいか?) ルアンは誰とも話す事なく、討伐が終わると転移してしまうらしいが。 隊員達にも声をかけないなんて、ルアンらしくない。 それだけ悲しみに囚われているのだろう。
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