零番隊隊長への復帰

3/21
35510人が本棚に入れています
本棚に追加
/863ページ
「今更遅いかも知れねぇけどな お前の近くにいる人物が協力者やシリエだった場合、正体は露呈しているからな」 確かに、ジークの言う通りだ。 俺の正体を知っている人は多い。 シリエと関係のない人達である事を願うしかない。 「魔力は戻ったようだな」 「…………」 一瞬でガルヴォルを思い浮かべてしまって、返事に窮する。 また悲しみがぶり返し、ローブを被る。 それだけで、ジークには俺の状態が解ってしまったのだろう。 「身体を壊すなよ?」 「分かっている」 何も言わないのは、俺の為だろう。 そのまま総帥室を出る。 ガルヴォルが死んだ事を、ジークは誰にも言っていないようだ。 その方が助かる。 今は、心配して……という理由でも、その名を口にして貰いたくない。 たぶん、泣いてしまうだろうから。 だから俺は、悲しんでいられなくなる程、任務を受け続けるしか方法がない。 エンドドロップを出る為に歩いていると、隊員達の驚きに満ちた顔が見えた。 そして次の瞬間には、嬉しそうに声をあげる。 “帝王様”と── こんな歪な俺が『無欠の帝王』だなんて、笑えもしない。
/863ページ

最初のコメントを投稿しよう!