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そのまま剣を弾き、幻武を構える。
「……流石はルアンですね
腕に身体強化を施していても、それを弾き飛ばせるなんて」
「そういう場合、足にも身体強化をかけるといい
踏ん張れなくなる」
そう、アスラは腕だけに身体強化をかけていた。
腕だけの力をあげたところで、あまり意味はない。
足にも身体強化をかけて踏ん張りを強化するか、背中に身体強化をかけ、より強化するか。
そうしないと、強化したって僅かな力しかあがらない。
「はい」
笑顔を向けてきたアスラの頭を撫で、すぐに離れる。
幻武で素振りを繰り返す。
身体を動かしていないと、色々と思い出してしまう。
俺が笑顔を見せなくなった事を、アスラ達は心配しているようだ。
だが、まだ笑えない。
泣き笑いのような表情しか作れない。
「そんなに悲しそうに笑うな」
普通に笑ったつもりだったのに、そうゼンに言われた。
俺はまた笑えるようになるんだろうか?
この悲しみを、過去の物にできるのだろうか?
ギルとララはどうしているのだろう?
ガルヴォルから受け継いで黒龍の長となったグレンは、大変ではないだろうか?
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