零番隊隊長への復帰

14/21
前へ
/863ページ
次へ
ゲートを通り、聖界へ。 聖界は相変わらず綺麗な所だ。 人界にはない緑が繁り、浮遊している岩のような地もある。 光が風で舞い、太陽はないのに光で満ちている。 「あ~、ルアンなの!」 ララが駆け寄って来た。 そのまま俺に飛び付いてくる。 「ララ、元気にしていたか?」 「ララ、元気なの」 いつもと変わりない様子のララ。 頭を撫でると嬉しそうに笑う。 「ルアン! やっと来たな! 遅いんだよ!!」 ギルも駆けてきた。 不安定な道のりなのに、いとも簡単に走り抜けている。 「グレンがまだ黒龍の長として忙しいから、俺から会いに行けないんだぞ!」 「来るのが遅くなって悪かった」 不満顔で見上げてくるギルの頭を撫でる。 「……来たから許してやる」 「そうか ありがとう」 ガルヴォルが護っていた世界は、こんなにも優しい。 そう思った瞬間、涙が流れていく。 「ルアン、メなの 泣いちゃメ、なの」 零れる涙を小さな手が拭う。 「ごめん……」 ララを抱き上げている事ができなくなり、地に下ろす。 そのまま蹲ってしまった俺を、小さな手で抱き締められる感覚がした。
/863ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35535人が本棚に入れています
本棚に追加