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ゲートを通り、聖界へ。
聖界は相変わらず綺麗な所だ。
人界にはない緑が繁り、浮遊している岩のような地もある。
光が風で舞い、太陽はないのに光で満ちている。
「あ~、ルアンなの!」
ララが駆け寄って来た。
そのまま俺に飛び付いてくる。
「ララ、元気にしていたか?」
「ララ、元気なの」
いつもと変わりない様子のララ。
頭を撫でると嬉しそうに笑う。
「ルアン!
やっと来たな!
遅いんだよ!!」
ギルも駆けてきた。
不安定な道のりなのに、いとも簡単に走り抜けている。
「グレンがまだ黒龍の長として忙しいから、俺から会いに行けないんだぞ!」
「来るのが遅くなって悪かった」
不満顔で見上げてくるギルの頭を撫でる。
「……来たから許してやる」
「そうか
ありがとう」
ガルヴォルが護っていた世界は、こんなにも優しい。
そう思った瞬間、涙が流れていく。
「ルアン、メなの
泣いちゃメ、なの」
零れる涙を小さな手が拭う。
「ごめん……」
ララを抱き上げている事ができなくなり、地に下ろす。
そのまま蹲ってしまった俺を、小さな手で抱き締められる感覚がした。
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