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俺は皆から、ガルヴォルを奪ってしまった。
後僅かな命と言っていたけど、その期間、ガルヴォルは生きられた。
それなのに、ガルヴォルがいなくなった事に悲しみ、泣く俺は、何て滑稽なのだろうか?
「ルアン、泣いちゃメなの」
「ルアンが泣くと、ガルヴォルが怒るぞ」
慰めの言葉が聞こえるが、余計に涙が止まらない。
「我等の子、泣くでない
生ある者はいずれ死ぬ
一つの命が終わっただけだ
……だが、長は幸福者だな
死を嘆く者がいるのだから」
グレンの言葉に顔をあげる。
「身体が大きくなったとしても、ルアンはまだ赤子のようなものだ
泣きたいなら泣けばいい
その悲しみに囚われないのなら」
グレンの言葉に、また涙が零れる。
「ルアン、泣くのメなの
ララも悲しくなるの」
「今は好きなようにさせてやるのが、姉の役目だろう?
我慢させるのは良くない」
「……分かったの
ララ、見守るの」
ララとグレンの会話が聞こえる。
泣いては皆を心配させると我慢し、任務を受け続ける事で気を紛らわせていたのに……
それは間違いだったようだ。
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