35535人が本棚に入れています
本棚に追加
散々泣き、涙が渇れる程流し、どこかスッキリした気がする。
泣き腫らした目元になっているだろうが……
だが、もう任務に戻らないといけない。
思った以上に時間が経っている。
また来る事を約束し、グレンにゲートを開いて貰う。
「前長の死を嘆いてくれて、感謝する
龍は寿命で死んだ場合、悲しむ者はいない
長は寿命を全うした
これ以上悲しむ必要はない」
「……ありがとう」
ガルヴォルの死を背負うなという事だろう。
僅かとはいえ、その命を奪ったのは俺だ。
だからこそ、泣く事が悪い事だと思っていた。
悲しむ資格がない、と……
「ルアンは、ルアンの為すべき事を為せ」
「ああ」
そうだ。
俺にはする事がある。
この世界の不安要素を排除しなくてはいけない。
俺が任務を受ける原動力になっている事──
“誰も、悲しんで泣く事がない世界に”
その為に戻ってきたのに。
悲しみを紛らわせる為に、任務を受け続けるのとは違う。
(俺はもっと強くならなければ……)
力だけでなく、精神的にも。
ゲートに消えていくグレンの背を見ながら、改めて思う。
最初のコメントを投稿しよう!