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「無理をするなよ」
「ああ」
依頼書を手に、外へ向かう。
依頼書の他に、駆け付ける場合もある。
それ位、魔物の数が増えている。
夜に活動している隊員もいる。
夜中にも魔物が現れているからだ。
皆で交代して夜に活動しているのだろう。
隊長達も同じ。
昔からそうなっているらしいけど、俺には何も言ってこない。
今は学生だと知ったからだろうが、昔から言われた事がない。
寝る間を惜しみ、昼夜関係なく任務をしていた俺に、よく“無理をしないでくれ”と言っていた記憶しかない。
任務を終えて寮に戻ると、夜中なのに、アスラが起きていた。
「今日は遅かったんですね」
料理の準備をし、待っていたらしい。
そう言えば、何も食べてなかった。
そう思った瞬間、腹が鳴る。
「すぐに温めますね」
慌ただしくキッチンへと向かうアスラ。
きっと眠いだろうに……
「遅くなってすまない」
「いいえ
気になさらないで下さい」
声をかけると、笑顔が返ってくる。
泣き腫らした顔は時間と共に戻ったようで、アスラは何も言わない。
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