零番隊隊長への復帰

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幼少期に親から離れた者は、それが強い。 虐待や迫害を受けていた者は、他人を拒む壁を作る。 誰も信用しようとせず、理解して貰えるのを諦めている。 断絶者やヴァキアもそうだった。 絶望し、他人を拒絶し、何処かスレてしまっている。 魔力量が多いというだけで、何故腹を痛めて産んだ子供に暴力を振るうのか、理解に苦しむ。 俺やアスラの場合、親を失い、すぐに戦う準備を始めた。 訓練に明け暮れ、それ以外は読み書きや簡単な数式しか勉強しなかった。 そのせいで精神的に子供のままで止まってしまったと、ジークが良く言っている。 ジークは後悔し、謝罪の言葉を口にするが、俺はジークを責める気はない。 子供だったからこそ、救えた命があっただろうから。 人の裏表を知らなかったこそ、俺は前だけを向けていた。 ……確かに、傷付きはした。 辛くて逃げ出した。 だが、保護された当時、人の裏表を知っていれば、俺は此処まで動かなかったんじゃないかと思う。 俺の事を“化け物”だと言う人がいる事を、救っても“有り難迷惑”と言われると知っていれば、俺は特訓を頑張ろうとは思わなかっただろう。
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