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何も知らなかった事がプラスになった。
だが、今はもう知っている。
知らなかった事を知り、それでも尚この道を選んだ。
やはり俺は、誰にも死んで欲しくない。
この世界が平和であって欲しい。
俺はそう願うだけ。
「…………」
動きが止まる。
(……どうするか……)
運んでいる間に服を掴まれていたようで、手が離れない。
このまま此処にいる訳にはいかない。
(服を脱ぐか)
服を脱ぎ、アスラの手元に置く。
俺の服は買い物に付き合ってくれた破壊者──フェンドにも買って貰ったから、かなりの数がある。
そうでなくても、明日には返ってくるだろう。
アスラの部屋を出て、自分の部屋に入る。
(風呂に入るか……)
風呂から出ても、まだ眠れないだろうが。
眠っている間にも、魔物は現れている。
その現状を知っているからこそ、たまに夜にも外にいる事がある。
全く寝ない事はしないようにしているが、ジークならば隊員が報告しているだろうし、気付いているだろう。
だからこそ、俺の身体を心配する。
だけど眠れないのだから、仕方がない。
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