零番隊隊長への復帰

21/21
35503人が本棚に入れています
本棚に追加
/863ページ
何も知らなかった事がプラスになった。 だが、今はもう知っている。 知らなかった事を知り、それでも尚この道を選んだ。 やはり俺は、誰にも死んで欲しくない。 この世界が平和であって欲しい。 俺はそう願うだけ。 「…………」 動きが止まる。 (……どうするか……) 運んでいる間に服を掴まれていたようで、手が離れない。 このまま此処にいる訳にはいかない。 (服を脱ぐか) 服を脱ぎ、アスラの手元に置く。 俺の服は買い物に付き合ってくれた破壊者──フェンドにも買って貰ったから、かなりの数がある。 そうでなくても、明日には返ってくるだろう。 アスラの部屋を出て、自分の部屋に入る。 (風呂に入るか……) 風呂から出ても、まだ眠れないだろうが。 眠っている間にも、魔物は現れている。 その現状を知っているからこそ、たまに夜にも外にいる事がある。 全く寝ない事はしないようにしているが、ジークならば隊員が報告しているだろうし、気付いているだろう。 だからこそ、俺の身体を心配する。 だけど眠れないのだから、仕方がない。
/863ページ

最初のコメントを投稿しよう!