混迷の果てに

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「此処にあったゲートは破壊した 俺は別の任務へ行く 後は頼んだ」 そう言った後、ルアンは使い魔と共に消えた。 転移したのはすぐに分かる。 足元に転移の魔法陣が出るのだから。 魔力切れを起こしかけている国兵達に、声をかけているサキシム。 どうやらサキシムを始め、魔力が残っている者で、皆一緒に転移をするらしい。 僕や兄様にも協力を求められた。 確かに、僕も兄様も魔力が残っている。 戦っていたサキシムや、使い魔に結界を張らせていたセルフィよりも、断然残ったままだろう。 “何故、僕が国兵如きに手を貸さなきゃいけない?” 普段ならそう言っていただろう。 ルアンの言葉を聞くまでは。 (父様は、兄様や僕が殺されても、何とも思わないのか?) 父様に対しての疑心が、僕がそれを口にしなかった理由だ。 フォネイズ家の跡取りを二人失っても、父様さえ生きていればいいと思っているのだろうか? そんな捨てておける存在なのか? モヤモヤした気持ちが、僕の中で溜まっていく。 ……僕は何を信じればいい?
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