破滅か、防衛か

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総帥室に入ると、いつもと同じ様子のジークがいた。 その側にはユリアがいる。 だけど、いつもと変わらない様子に見えるけど、僅かな違和感を覚えた。 「ルアン、来たか」 席を立つジーク。 その時、違和感が何か分かった。 「怪我をしたのか?」 ジークからユリアの力を感じる。 つまり、回復魔法では治らない程の重傷を負ったと言う事だ。 「何を言ってるんだ? 何処も怪我なんてしていないだろう?」 「ジークから、ユリアの力を感じる そうしなければならなかった程の怪我を負った証拠だ」 俺がそう言った途端、ジークは目を瞠った。 「……何でそんな事が分かる? 黒龍の長の力か?」 言われて初めて、俺もそれに気付いた。 魔力探知はできるが、魔力の質や個人の特定などはできなかったのに。 ましてや、人の中にある他者の力を感じとる事なんて無理だった。 それなのに今は、それが分かった。 今まで意識した事はなかったが、俺は魔力量が増えただけではなかったのだろうか? ガルヴォルの魔力袋を受け取った事で、そういう変化があるなんて思ってもいなかった。 だが、俺は彼が先見ができる事しかしらない。
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