歌姫来星

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 空港の中にある豪華な応接室の皮張りのソファーに座りながら、クレア・チェンは携帯電話のオオサンショウウオさんを握り、時計を表示させるとため息を吐いた。 「さっきから5分も経ってない」  一人文句を言うも、こんなことを30分も前から繰り返しているのだ。  そんな時、ドアがノックされ一人の青年が入ってきた。 「クレアちゃん、何か用なものある?」 「キースくん、ありがとう。大丈夫だよ」 「そんなに時計を気にしても、時間は進まないよ」  キース・ローランが時計を表示させたままの携帯を見て笑いながら言う。 「そうなんだけど、何だか落ち着かなくて」 「気持ちが分からなくも無いけどね」 「失礼します!」  ノックもせずに、余程急いで来たのだろう。息を切らせた状態のジュン・ルードリッヒが飛び込んできた。 「今連絡があって、後30分程で到着するみたいです!」  ジュンの一言を聞くと、クレアは髪を浮かせながら飛び上がる様に立ち上がると、勢いよく部屋を飛び出した。 「クレアちゃん!まだ30分もあるんだよ?」 「それでも良いの!」  キースが走って行くクレアの背中に声をかけると、振り返りながら返事をして残った二人に手を振りながら走り去る。 「もう少しで会えるんだ」  スキップでもしたいくらいの高揚した気持ちになりながら、クレアは滑走路へと向かう。  大好きな人たちを迎える為に。
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