2人が本棚に入れています
本棚に追加
空港の中にある豪華な応接室の皮張りのソファーに座りながら、クレア・チェンは携帯電話のオオサンショウウオさんを握り、時計を表示させるとため息を吐いた。
「さっきから5分も経ってない」
一人文句を言うも、こんなことを30分も前から繰り返しているのだ。
そんな時、ドアがノックされ一人の青年が入ってきた。
「クレアちゃん、何か用なものある?」
「キースくん、ありがとう。大丈夫だよ」
「そんなに時計を気にしても、時間は進まないよ」
キース・ローランが時計を表示させたままの携帯を見て笑いながら言う。
「そうなんだけど、何だか落ち着かなくて」
「気持ちが分からなくも無いけどね」
「失礼します!」
ノックもせずに、余程急いで来たのだろう。息を切らせた状態のジュン・ルードリッヒが飛び込んできた。
「今連絡があって、後30分程で到着するみたいです!」
ジュンの一言を聞くと、クレアは髪を浮かせながら飛び上がる様に立ち上がると、勢いよく部屋を飛び出した。
「クレアちゃん!まだ30分もあるんだよ?」
「それでも良いの!」
キースが走って行くクレアの背中に声をかけると、振り返りながら返事をして残った二人に手を振りながら走り去る。
「もう少しで会えるんだ」
スキップでもしたいくらいの高揚した気持ちになりながら、クレアは滑走路へと向かう。
大好きな人たちを迎える為に。
最初のコメントを投稿しよう!