都会っこの幸太郎

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引っこし先のうちは田舎のマンションだった。 「なんで電車が一時間に一本しかないの?」 お母さんに聞くと、 「一時間に一本もあるじゃない」 っていわれた。くれいじーだ。 ダンボールが山づみのうちの中でスライディングシュートの練習をはじめると、お母さんが飛んできてなぐられた。これがジドウギャクタイってやつか。 ぼくがお母さんをケイサツにツーホーしようかと真剣になやんでいる間に、ダンボールはあらかた片付いていた。 「あ、そうそう。これが家の鍵だから、なくさないようにしまっておきなさいよ」 「ぼくしってるぜ。カギを持つえろばれた子供のことをカギっこっていうんだろ。男なのに名前にこがつくなんてへんだよな」 お母さんはぼくのあまりのかしこさにおなかをかかえて喜んだ。
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