読み切り短編小説

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俺は咄嗟に近くにあった鈍器を手に取り、俺を 踏みつけていた若者の脛を思いっきり殴った。 「いってぇ!!」 若者は痛みで金属バットを離した。俺はすぐさ ま奪い取り、若者を殴り付けた。 「す……すまん!ゆゆゆ……許してくれ……!!」 「……死ね」 俺はフルスイングで若者の腹に金属バットを何 度も降り下ろした。 1人殺した後、すぐにもう一人の若者の元へじ りじりと寄っていく。 「ひひひ……ひぃ……!!」 今の俺はまともではなかった。自分で一体何を しているのか、どうして意識がないのに動いて いられるのか…… 気が付いた時には辺り一面血だらけだった。 この時に俺は意識を取り戻し、自分がとんでも ない事をしてしまったと気付いた…… そもそも俺がきちんとすればこんな事にはなら なかった事だ。盗みなんてどうしてやってし まったんだろう。 生きる為とはいえ、こんな事になるのだったら 俺は……俺は…… 盗みを働き、殺人まで犯してしまった俺はもう 生きていられない。 妹の側に駆け寄り、俺は隠し持っていた毒薬を 手に取った。 この毒薬はもしもの為に使えるかと思い、盗ん だ物だ。 「俺も今からお前の所に行くよ」 そう言い終えて俺は毒薬を一気に飲み干し、眠 りについた。 ……これで一生妹と居られる。
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