19人が本棚に入れています
本棚に追加
少年は直ぐに立ち上がったが、なにかを探しているようだ。もしかすると…
「おにいちゃーん!!指輪なくしたー!!」
「…やっぱりか。」
半泣きの少年がこけたあたりの場所を一緒に探す。全く見つからない。
「溝におちたかも…」
「ちょっとどいてろ。溝あけるから。」
溝の蓋を持ち上げ覗き込んでみたが、影も形もない。
「んー、ここじゃないなー」
「あったよ、指輪。」
不意に後ろから少年の声がかかる。
指輪があった、と聞いて良かったな、と言葉をかけようとした瞬間、背中に衝撃。姿勢が前のめりの体制だったから溝に頭から突っ込む。
「一緒に探してくれてありがとう!お礼に異世界にゴショータイするね!行ってらっしゃい!」
「!?」
少年がそういった瞬間、溝の底にぽっかり空いた穴が表れた。
なんで、と疑問を抱く前に意識が飛んだ。
最初のコメントを投稿しよう!