吉谷鷹雄という少年

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少年は直ぐに立ち上がったが、なにかを探しているようだ。もしかすると… 「おにいちゃーん!!指輪なくしたー!!」 「…やっぱりか。」 半泣きの少年がこけたあたりの場所を一緒に探す。全く見つからない。 「溝におちたかも…」 「ちょっとどいてろ。溝あけるから。」 溝の蓋を持ち上げ覗き込んでみたが、影も形もない。 「んー、ここじゃないなー」 「あったよ、指輪。」 不意に後ろから少年の声がかかる。 指輪があった、と聞いて良かったな、と言葉をかけようとした瞬間、背中に衝撃。姿勢が前のめりの体制だったから溝に頭から突っ込む。 「一緒に探してくれてありがとう!お礼に異世界にゴショータイするね!行ってらっしゃい!」 「!?」 少年がそういった瞬間、溝の底にぽっかり空いた穴が表れた。 なんで、と疑問を抱く前に意識が飛んだ。
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