封印されし者・捜の章

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「何か、嫌な感じだな…」 廃村、というだけあって辺りは廃れた民家がちらほら。 何だか不快な気分にさせられるような、歩く度気が落ちていくような、そんな雰囲気。 一言でいうなら"悍しい"。 「っ…」 ぞっ、とした。 思わず再びペンダントを握る。 幼い日の悪夢。 怖いとか悲しいとか何か色々なものが混ざりあい、青黒いペンキみたいにどろどろとしたような感情に襲われ思わず足が止まる。 膝から落ちてしまいそうになる。 必死に踏ん張り歯を食い縛る。 ……俺はもう無力なんかじゃない…。 多少まだ体内でぐるぐると何かが渦巻いてるような感覚に襲われるが弱音なんていってられない。 脳裏に過るは無邪気に笑うただ1人の家族の顔。 「…俺がしっかりしないと、アポロが不安がる」 一息吐きぱんっ、と量頬を叩き気合いを入れ直す。 大丈夫、もう行ける。 「別行動をとってよかった…」 こんな情けない兄の姿なんて見せられない。 苦笑気味に呟くとクリムは再び足を進めた。 とにかく民家の中も探して見なければ。 まずは一件一件しらみ潰しに捜索して行こう。 .
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