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―――――……。
「…ここにもいない、か」
この民家で九件目、その内の数件は先に誰かが入ったのか、はたまた廃村となる前に何かがあったのか至るところが荒らされていたが。
聖剣達も魔王も、ましてや手がかりの1つも見つからない。
しかしこんなことで途方にくれるには早い。
とにかく早く聖剣達の無事を確認したい。
せめて死んでいないことだけを信じて捜索を続ける。
十件目の民家に入る。
ふと違和感を感じた。
中は他の数件のように荒らされていた。
いや、それよりも。
(…扉が開いてる…?)
民家の奥、ある部屋の扉が半開きになっていた。
元から開いてた、ともとれるが…少し息を殺すとうっすらと人の気配を感じた。
まさか、失踪した聖剣の誰か…もしくは魔王…?
「やっと…見つけた」
ふと、自分ではない声が聞こえた。
低く静かなそれはどこかで聞いたような。
見つけた…ってことは…中には最低二人はいる?
果たして先にいるは敵か味方か…。
敵であった時のために細心の注意をはらい静かに扉に近寄る。
静かに、静かに…。
「そこにいるのは誰だ」
奥から聞こえた声に息を飲んだ。
敵意とは何かが違う、が、その短い問いに明らかな警戒心を感じる。
敵味方の判別まではつかないが…。
この先の人物はこの事件の元凶ではない…そう感じた。
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