還り出す運命の環

4/11
前へ
/38ページ
次へ
「え…」 その一人を見た瞬間、目が離せなくなった。 "夢と同じ"。 茶色い髪。 「初めまして、小野妹子と申します。 年は今年で23で、妹子、という名前ではありますが、男ですのであしからず」 そう言った瞬間、曾良がものすごい速さで小野のズボンをめくった。 周りは唖然としている。 「確かに、男です」 「…曾良君…」 部下の突然の奇行にばっしょさんは、最早ぐったりとしてしまっている。 一気に空気は気まずいものに変化していく。 そんな空気を払拭もう一人の新入社員が口を開いた。 褐色の肌に、そこそこ胸のある金髪の綺麗な女性だ。 「閻羅鬼子です。 年は25、その他諸々にはツッコまないでください」 有無を言わせぬ笑顔を見せる閻羅、きっと男をうまく操るタイプの女性だ。 私は内心閻羅に拍手を送った。 よく見れば、閻魔が呆けて閻羅に見入っている。 ほぅ…これは…。 楽しい予感がして私の顔は無意識に緩んでいった。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加