はじまりはじまり

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「邪魔するぞー」 私は玄関で無造作に靴を脱ぎ、ぺたぺたを裸足のまま勝手に上り込んだ。 こんなことは日常茶飯事なので、閻魔はもはや諦めの境地だろう。 「本当に邪魔だよ…」 閻魔は上半身裸の状態で寝室から、顔を出していた。 顔にくっきりと紅葉があるということは、いつもの悪い癖の痕なのだろう。 面白半分で閻魔の近くに行ってみる。 「くっさ!!」 けぶる様な香水の匂いや、汗の匂い、その他諸々の匂いが部屋から溢れだして鼻を突く。 私には一生縁のないような匂いだ。 閻魔は女癖が果てしなく悪い。 閻魔にとって兄弟のような存在であるから、私の存在は安全といえば安全なのだろう。 しかし願えば崩れてしまう、そんな関係でもあった。 けれど、望まないから閻魔は寄り添う相手だ。 温もりをほんのひと時分けてもらう相手。 だから軽口も叩ける。
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