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「あのねぇ…」
正直に感想を述べたことが気に喰わなかったのか、閻魔が何か言いたそうに言葉を紡いだが無視して台所に向かった。
包丁を手に取り、買ってきた材料を漁って水でさっと洗うと器用に皮を剥き始める。
その様子を見ていた閻魔は口を噤んで、それから小さく息を吐くと私が皮を剥いて水にさらしていた野菜たちを切り始めた。
閻魔と私は愛に飢えている者同士だ。
お互いでお互いの隙間を埋めあっている。
閻魔が求めるのは直接的な温もり。
私が求めるのは家族の様な温もり。
根本的なところは違う。
だからこそ、このままの距離が保てているのだろう。
少し特殊な存在同士だから…。
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