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そうこうしているうちに着々とカレーは出来上がっていく。
私はカレーが大好きだった。
カレーは私にとって幸せな家族の象徴で、"あの人"と私を繋ぐ大切な絆だった。
そんなことをうわの空で考えていたから、閻魔の小さな悪戯に気付かなかったのかもしれない。
スプーンに乗って口へと入ってくる琥珀色の半液状のもの。
其れが舌先に乗った瞬間、悶えた。
「かっらぁ……!!」
涙目になりながら台所に急ぎ、コップを持って急いで蛇口を捻る。
ぐびぐびと水を一気飲みする姿を見て、悪戯が成功した子供の様に閻魔はケラケラ笑っていた。
睨みつけるも全く効いていない様子。
閻魔と私は"似非"家族だ。
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