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「うっへぇ!?」
突然の冷たさで奇妙な叫びと共に一気に覚醒した。
どうやら閻魔が背中に氷を投入したようだ。
年下の弟妹に悪戯を仕掛ける兄のようである。
「わ…私は冷凍庫じゃないんだぞ!?」
分かってやっていると理解しながら、私は眉を吊り上げて怒る。
背中は冷たさによる違和感と、溶けて水になってしまったことでくっついているという最悪の不協和音を醸し出している。
直後、背筋を悪寒が伝った。
ぶるりと身震いをして不快感に包まれた。
寒い。
寒いのは嫌いだ。
まるで一人ぼっちのようで。
閻魔の心の闇を私は知っている。
けれど閻魔は私の闇は知らない。
深すぎて潜りきれないだけかもしれない。
其れでもいい、と思えた。
愛に飢えているが、今はまだ凌げているのだから。
そしてそれは、閻魔という、似たような存在がいたからだ。
だから閻魔にとって私は特別であり、閻魔にとってもまたそうであるのだ。
再び寝ることもできないし、濡れて張り付いて不快だったので、私はしぶしぶ起きることにしたのだった。
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