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その後、先輩はすぐに支度を済ませ、早足に教室を後にした。私はせっかく来たから勉強をしていこうと机を見ると、そこには先輩の読んでいた本が置いてあた。急ぎすぎて忘れたのだろう。私はそれを手に取り、表紙を捲った。そこに書かれていた題名は、今女の子の間で人気のある恋愛小説のタイトルだった。途端、私は可笑しくなって、思わず笑ってしまった。
「あの先輩は……。まったく……」
私はそっと、本を元あった場所に戻した。金色に染まる教室を風が吹き抜ける。パラパラと本のページが捲られ、栞の挟まれた所が開かれる。そこに描かれた男女が自分達と重なって見えた。
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