金色に染まる教室で

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 私がここに来るようになってからの習慣。あの日から始まった、私の習慣。夕日に染まる部屋の中で、1人本を読む先輩を見たときから。私は先輩に――鞍馬聡に恋をした。  この学校には沢山の部活動があり、その日、まだ1年生だった私は放課後に1人でいろんな部活を見て回っていた。そんな時通りかかった教室に、先輩はいた。少しだけ開いたドアから覗くキラキラと輝く金色の世界で、1人読書するその姿に、私は一目で恋に落ちた。  後日、すぐにその先輩が所属している部活が読書クラブであると分かり、そのまま勢いで即入部。最初は邪魔者みたいに思われてるかなと思ったけれど、そんな事はなくて。とても優しい先輩で、勉強を教えてくれたり本の話をしたりして。私はそんな先輩にどんどん惹かれていって。  先月、私は先輩に告白した。  初めて見かけた時から、好きでしたって。だけど、先輩から返ってきたのはそうか、の一言だけ。好きとも嫌いとも言ってはくれなかった。告白してから1ヶ月たった今だって、ちゃんとした返事は来ないまま……。  っと、ここで5時を知らせるチャイムが鳴った。それを聞いた先輩は本に栞を挟んで仕舞うと、鞄を持って立ち上がった。 「もう帰るんですか?」  いつもなら6時まではここで読書をしているのに。 「今日は帰っていろいろやる事がある」 「弟さん達のお世話ですか?」  私の問いにそんなとこだ、と答えると教室の鍵を机の上に置いて帰ってしまった。 「……結局、また勉強捗らなかったなぁ」  開かれたまま使われなかったノート達に溜め息を洩らす。その後何もする事なく考える事もなく、ただぼんやりとパイプ椅子に座ったまま動かないでいた。  思い出したように時計を見た時には、既に6時半を過ぎていた。私は慌てて帰りの支度を済ませ、教室の鍵を締めた。  鍵を先生に返して、急いで家に帰り着いた時には7時を過ぎていた。私の家は時間に厳しく、決まった時間にお風呂やご飯を食べている。それ以外の時間ではご飯が出てくる事はなく、こっそりと夜中にカップ麺を食べるようなことをしなければならない。幸い、今日は何とかご飯の時間には間に合った為、そんな事をしなくて済んだけれど。  ご飯やお風呂なんかを済ませて、自分の部屋に入ったのは9時頃だった。
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