金色に染まる教室で

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 そして現在時刻は夜中の0時。私はベッドに横になり、大好きなクマのぬいぐるみを抱きながら携帯の画面とにらめっこしていた。  画面には11時頃、先輩から来たメールの文章が映っている。文面は絵文字や顔文字もなく「明日、部室に来てくれ」とだけ書いてあった。その時は何も考えず「分かりました」と返したのだが、よく考えると明日は部活がある日ではない。じゃあ、なんでわざわざ呼び出す必要が? 私の頭が導き出した1つの答え。  1ヶ月前の告白の答え。それを明日伝える。  そう考える事が出来るじゃないか? もしかしたら違うかもしれない。だけど……。そう考え始めたら、何だかとても緊張してきてしまった。  今まではちゃんとした返事が欲しいと思っていたけれど、いざその時となると、怖くなってしまう。振られてしまうんじゃないか。今までの関係が壊れてしまうんじゃないか。先輩に、嫌われたんじゃないか。そんな事ばかりが浮かんでくる。私はそれを振り払うようにクマのぬいぐるみを強く抱き、堅く瞼を閉じた。  翌日、私は結局ちゃんと寝ることが出来ず寝不足。学校に着くまでに何度も欠伸をする羽目になり、学校に着くなり机に突っ伏して、押し寄せてくる眠気の波に攫われていった。  私の意識が回復したのは放課後になってからだった。その間にも何度か目が覚めたり周りの声が聞こえたりもしていたが、結局すぐにまた眠りについてしまい、この時間だ。  周りには少しだけ人が残っていて、時計を見ると4時半になっている。授業が終了し、30分が経っている。そこでハッと思い出し、荷物をまとめて教室を飛び出した。まだそんな急ぐ時間ではないかもしれないけれど、なんだか走らずにはいられなかった。  目的の場所にはすぐに辿り着いた。乱れた息を整え、深く深呼吸をする。そしてドアに手をかけ、恐る恐る開く。  そこにはいつも通り、先輩が1人で読書をしていた。私が入ってきた事に気付くと本を閉じて立ち上がった。私は緊張しながら教室内に入り、後ろ手にドアを閉める。 「遅かったな。また掃除当番だったのか?」  先輩はいつもと変わらない調子で声をかけてくる。 「い、いえ。ちょっと寝過ぎてしまって」  対して私は、自分でも分かる程にぎこちない返事を返してしまった。だけど先輩はその事には何も言わず、私の顔を、目を見つめてくる。
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