美菜犬

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タイガーマスクが濡れた床に滑ってひっくり返ったのを見て美菜が、 『くっく』と笑った。 そして慌てて『ワン』と言った。 『クソッ!』 「お前が水の入ったお碗をわざと溢(こぼ)した訳じゃないから許すけど、後でお仕置きだな。その前に食事、さあ餌(えさ)だ」 タイガーマスクが犬用のアルミのお椀に盛った飯を両手で四つん這いになっている美菜の前に置いた。 『ワンワン』 美菜が犬のように吠えた。 「慌てるなよ」 タイガーマスクがそう言いながら、右手に持っていたアルミのお椀の中の味噌汁を、ご飯の上にぶちまけた。
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