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豊は頭を垂れて、もの凄いショックを受けたような演技をしていた。
すると唐突に、少し薄れていた寂漠感が津波のように襲い掛かかってきた。
(お兄ちゃん。大丈夫かなぁ)
『うぅ……』
豊が獣のような唸り声をだしながら、ぶるぶる震えている。
真由美は思わず、
「お兄ちゃん」
と叫びながら豊に駆け寄り抱きしめた。
豊も真由美を抱きしめる。
少し濡れたように光っている真由美の髪からシャンプーの香りがした。
豊は真由美の髪を口に入れて噛んだ。
(僕の心身は、どうなったんだろう。
自殺未遂する前は寂漠感は無かったのに………)
『ピンポン』
突然チヤイムが鳴った。
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