蛇子としっこ

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◇ 「……目が覚めたとき、私は自宅のベッドのなかにいました。  石段の下に倒れているのを、夜、父が発見したみたいで。  他の4人は、行方不明になったまま、戻って来なくなりました」 「神隠し……?」  平岩先輩がごくりと生唾を飲み込んだ。 「だったんでしょうかね。  ふふっ、平岩先輩、信じてないでしょ」 「いやっ、いやいや、聡美ちゃんが言うと、なんか説得力あるよ。うん」  いつのまにか、平岩先輩のグラスは空になっていた。  あのときの事件を話すのは久しぶりだったから、ずいぶん熱っぽく語ってしまった。  ずいぶんスラスラ嘘がつけるものだと思われたかもしれない。  それでもいい。  話せて、楽しかった。
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